「寛容」とは何か(5)
2009年 08月 27日
そして、世間の最小単位は家族制度であるイエといわれ、先の指摘にあったように家族制度が社会のあり方を規定することからも、イエ制度の特徴が世間の特徴となっていくとはいえないでしょうか。
日本のイエとはどのようなものでしょうか。日本のイエは共同体とされますが、共同体はその存続そのものを目的とした集合体のことです。
その存続が最優先の目的とされる以上、イエという共同体は実利的に必要とされる構成員を求めることになり、必ずしも血統がイエの本質とはなりません。
たとえば養子であってもイエに入って実利的な構成員であれば家族とされます。
また、小熊英二氏の著書「単一民族神話の起源」による日本のイエ制度の特徴に少し補足させていただくと、イエ制度とは、一般には自他の区分が未分化で境界が曖昧な「みんな」であることが求められながらも、長幼の序の緩やかではあるが絶対的な上下関係が存在し、包摂と排除の関係が顕在化しないような仕組みがなされたものということになります。
そして、このようなイエ制度の特徴が会社共同体や地縁血縁共同体の特徴としても当てはまることについては一般に納得できることではないでしょうか。
家族制度が社会のあり方を規定するという指摘については、イエの制度の特徴が日本の世間の特徴にも拡充されていくというように考えることができそうです。
また、日本のイエ制度が血統を本質としないことは先にふれましたが、これは「同姓不婚」や「異姓不養」の原則がある中国や韓国のイエ制度とはあきらかに異質なものであり、決して日本のイエ制度は普遍的なものではないということになります。
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