貨幣論/岩井克人(3)
2010年 04月 02日
金本位制であろうが、変動相場制であろうが、金融危機は起こるものといえます。
デリバティブ(派生)やヘッジ(垣根)ファンドとかは、もともと経済の周縁にあるものと信じられていたのですが、現実は周縁が経済の中心になっているということになります。
おそらく、18世紀後半のフランス革命からソ連が崩壊するまでの200年間は、労働価値説が信じられてきた時代といえそうです。
労働価値説は、人が労働によって生み出し成果物であるからこそ価値がある、というモノの見方です。
つまり、人間中心主義の時代ということになります。
従って、モノに備わった差異を利用することで利益を得るということになる重商主義(遠隔地貿易など)はナンセンスとされた時代ということになります。
ところで、貨幣とは何かと考えた場合、次のような説が主張されることになります。
まずは、貨幣法制説です。
これは、共同体の申し合わせか、王様の権力によって指名されたものが貨幣となるという考え方です。
もうひとつは、貨幣商品説です。
これは、広範な欲望を集める商品が、交換過程のなかで自然に転化したものが貨幣になるという考え方です。
そもそも、商人資本主義とは、差異性を利潤に転化する経済活動であって、遠隔地貿易がその代表的な経済活動として考えられます。
産業革命までは、重商主義の時代であったということができます。
ところが、産業革命による18世紀後半からの産業資本主義によって、資本主義が構造的に安定することになると、それ以前の重商主義は抑圧されてしまい、人間中心主義的なアダムスミスの古典派経済学が登場することになるということです。
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