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自由の限界と民主主義の限界(11)
人の持つ文化だけではなく、人の持つ感覚が多様なものであるということに気付くためには、違った文化や感覚に実際に出くわすという経験が必要になると思われます。

異質な他者との出会いによって戸惑い、困惑するという経験を踏むことが、異文化を理解するためには必要となってくると思われます。

つまり、自分自身の文化を絶対化するのではなく相対化するためには、自分以外にも多種多様な文化が存在していることを、アクテュアリティ(皮膚感覚)の問題として受けとることが必要といえます。

人は、「同じ」なのではなく、それぞれ「違う」ということを知ることが、人を文化的成熟へと引き上げてくれることになるのではないでしょうか。

先に示したように民主主義は、価値相対主義であって多種多様な自律した個人を前提としています。

多種多様な個人とは、内面を持ったありのままの人そのものということになります。

従って、人が自分らしく生きることができるような多様化社会が、民主主義を十全に機能させることになるのではないでしょうか。

つまり、社会における多様な感覚と文化を持った個人が、内面をありのまま尊重されるということが、民主主義の必要条件になると思われます。

また、一方では、個人の自由や平等を保障するために、個人の感覚や文化の領域を超越した公共空間が存在していることが、民主主義の十分条件になると思われます。

そして、このような個人や共同性を超越した公共空間が維持できる政治システムが、法治主義ということになるのではないでしょうか。

法治主義以外にも、市場主義における消費単位としての個人を超越したマーケットが、公共空間といえるのかもしれません。

このような公共空間では、多様性をありのままの状態に放置しておくということはできません。

従って、公共空間内のルール化や価値調整による効率化などによって多様性を標準化してある一定の範囲内に治めるという役割が求められます。

つまり、個人の自由や平等を保障していくための公共空間(十分条件)においては、多様な感覚と文化を持った個人をありのままに尊重すること(必要条件)とは、矛盾する関係ということになります。

個人の自由や平等が公共空間において保障されるためには、個人が持つ自由や平等の権利の一部を自ら公共空間に譲渡しなければならないということになるようです。

このことは、民主主義と自由を考えるうえで、何を意味しているのでしょうか。

公共性そのものを否定してしまうような、行き過ぎた自由や平等が主張されることがありますが、このような行為行動は、たとえ公共ルールに沿ったものであっても、自ら公共空間の効率性や合理性を破壊してしまう危険性を孕んでいるということになります。

自由は個人の存在規定であって、事実行為である平等(公平)とは性格を異にするものといえますが、いずれにせよ個人の自由と平等の持つ多様性をありのままの状態で公共空間に放置することになれば、公共空間は信念対立の場になってしまうということです。

公共空間(議会制民主主義)では、合法的な多数派形成がなされていくことになりますが、一方では少数派となった不純物がどんどん排除されていくということにもなります。

ナショナリズムが排外主義につながりやすいのは、このような民主主義の純化システムに沿った形で機能しているからかもしれません。

そして、公共空間(議会制民主主義)における多数派形成が志向されていくということは、公共空間(議会制民主主義)そのものが均質化したものに変容していくということでもあります。

また、公共空間(議会制民主主義)の均質化は、社会全体の均質化や硬直化を進展させることにもなり、社会全体が信念対立(二項対立)の構図の中に投げ出されてしまうことにもなります。

このような状況は、社会が安定する方向とはいえず、社会が多様性を失って、ますます不安定化していくということがいえそうです。

つまり、議会制民主主義が信念対立によって十全に機能しない状態になったまま、民主主義システムの純化(法治主義)だけがどんどん進んでいくと、いとも簡単に自由と平等の限界(排除)の隘路に迷い込んでしまうということになります。

議会制や法治主義などの民主主義の行き過ぎた純化は、社会を不安定なもの(信念対立)にさせることになり、その結果個人の自由と平等の限界(排除)が顕在化する形で、民主主義制度の限界が露呈することになると思われます。

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by kokokara-message | 2010-03-13 14:32 | 我流政治学 | Trackback | Comments(0)
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